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【文学】中国の「80後」作家が日本で人気がない理由

2016-11-21 人民網日本語版 人民网日文版


日本人作家・吉井忍


中国では数年前から中国語で執筆活動を行う日本人作家が人気を集めている。加藤嘉一、新井一二三、吉井忍といった日本人作家たちが綴る中国語はネイティブの中国人も赤面してしまうほどの円熟さだ。また日本の学術界には千野拓政氏という中国人より流暢な中国語を話す研究者もいる。(文:瀋河西 東方早報掲載)

 

早稲田大学文学学術院の教授を務める千野氏は長年にわたり、現代中国文学の研究に尽力してきた。

 

数年前から千野氏の研究対象は伝統的な文学研究から、文化研究へと次第に移行してきている。氏が最も注目しているのは、現代青年文化だ。還暦を越えた白髪のこの研究者は若者たちが関心を寄せるアニメ漫画、ライトノベル、ネットゲームといった二次元コンテンツにその関心を寄せている。

 

上海大学文学院文化研究科の兼任教授も務める千野氏は今学期、同大学で講義を行った。講義の最後に千野氏は教室にいた大学院修士課程学生や博士課程学生に対し、「君たちは希望と絶望のどちらが多いと感じているか?」と質問した。こうした質問をした意図は中国の若者たちの心理状態を理解したかったからだという。講義を終えた後、千野氏は中国の青年作家の考え方や現代の日中の青年文化に関して記者と対談した。

 

○「80後(1980年代生まれ)」作家の作品には中国の若者たちの現状を反映すべき

 

Q(記者):NHK中国語講座で、氏は韓寒の「1988:ぼくはこの世界と語りたい」を教材として取り上げたが、この小説を選んだ理由は?

 

千野氏:同講座は中国の現状と文化を紹介することを目的の一つとしているので、この機会を利用して、日本の人々に現代中国青年の文化を紹介したいと考え、同作品を教材として取り上げた。同講座では語学講座という点を考慮し、韓寒の「1988:ぼくはこの世界と語りたい」、それから阿乙の小説、劉慈欣の「三体」という3本の文学作品を教材として選んだ。当時、劉慈欣はまだヒューゴー賞(優れたSF・ファンタジー作品に贈られる賞)を受賞していなかった。また韓寒はやや「過去の人」になりつつあるが、それでも中国社会に対する影響は軽視できない。

 

Q:中国「80後」世代の作家が書いた作品に対する個人的な評価は?

 

千野氏:当然、作家によって個性はあるが、全体的にみて「80後」の作家が発揮している時代的精神はそれほど豊かとは言えない。

 

Q:これらの作家の作品は、日本でどの程度受け入れられているのか?

 

千野氏:韓寒の「三重門」と郭敬明の「悲しみは逆流して河になる(悲傷逆流成河)」を除き、ほとんど紹介されていない。この世代の作家は日本ではほとんど人気がない。その理由の一つとして考えられるのは、例えば郭敬明の小説を見てもわかるように100%オリジナルの作品が少ない点だ。彼の「幻城」は、日本の漫画の模倣した作品であるため、日本の読者にとって新鮮味が無い。日本人にとってこのような類の小説はすでに読んだことがあるからだ。

 

また、張愛玲は中国では大変人気があるが、日本で彼女の作品はほとんど翻訳出版されていない。なぜならおそらく日本の文学作品には、もともと女性心理を事細かに描写した作品が多いからだろう。そのため日本の読者は彼女の作品から特に個性のようなものを感じることができない。

 

中国の「80後」作家が直面する現実は、日本の「80後」が直面する現実とは異なっている。中国人作家がやるべきことは、作品の中で、中国の現実にいかに向き合い、中国の若者の状態をどのように表現するかという点だが、この部分が十分に表現されていない。もし、この部分が十分に表現できれば、中国の「80後」作家は、必ず海外の読者を魅了することができると思う。

 

○青山七恵の日本での評判は、中国に遠く及ばず

 

Q:青山七恵は芥川賞を受賞したが、日本では彼女は人気作家とは言えない。一方、中国での評判はすこぶる高い。これはどうしてなのか?

 

千野氏:青山氏らの小説は、日本社会の現実を反映しているが、その表現方法がやや異なっている点がその原因の一つとして考えられる。例えば、魯迅の小説が読者にもたらす感銘は、この世界はこのようなものなのだ、という感覚にとどまらない。彼の作品は、さらに読者に思考の機会を与える。青山氏らの小説に読者は確かに共感を覚え、読者は社会というものはこういうものなのだと感じるだろう。しかしこの種の小説は非常に多い。例えば、今年上半期の芥川賞受賞作「コンビニ人間」ではコンビニで働く女性の日常生活における心理状態が描かれている。

 

Q:日本の読者がこれらの作品を読んだ後、共感は覚えるが、現状に対する一種の肯定を生む効果があるだけで、魯迅作品のように、さらに一歩進んで、現実について改めて考え、ある種の行動を起こす勇気を生むレベルには達していないという理解で間違いないか?

 

千野氏:その通り!この種の作家は非常に多い。実は青山七恵だけの特徴ではない。私は中国の読者の間で青山作品がこんなに人気が高い理由をあまり理解できないのだが、おそらく、彼女の作品を読んだ後、日本社会はこんな感じなのだと理解できたり、中国と大差ないのだという認識を得られるからではないだろうかと考えている。

 

○若者に対して啓発する役割を果たさなくなった文学

 

Q:あるイベントにおいて、あなたは、「ジェーン・オースティンの時代は過去のものとなったが、そのころの作品は、当時の人々が外部への視野を広げる手助けをした。だが、今日の小説は、その役割を果たらなくなった」と話したが、これはどういう意味なのか?

 

千野氏:一昔前の人々は、魯迅や王安憶、莫言などの文学作品を読んだとき、ある種の啓発を受けたものだ。だが、今の若者がこれらの作品を読んでも、そのような啓発を得ることはない。小説と彼らの現実とのギャップが大きすぎるため、文学作品が彼らにリアルさを感じさせる働きがますます小さくなってきている。若者にとって、小説はもはや啓発を受ける存在ではなくなっている。

 

村上春樹は無意識のうちに若い読者たちの変化に適応した数少ない作家の一人と言える。若者がアニメ・漫画やライトノベルを読んだり、見たりするとき、これらの作品に深みがないことを知っているが、彼らが求めるものは昔の純文学作品ではない。私は若者たちも深みのある文学作品を求めてはいると信じているが、彼らを惹きつけるような深みのある作品は現在は無いというのが現状だろう。


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